製造・流通現場向けAI、画像1枚で世界最高精度の物体検出

今日実用化されているAIは画像認識が得意である。人の行動や周辺環境の認識に必須だとして、製造現場における品質・生産性向上、社会インフラにおける保守点検作業の効率化、物流・流通現場における業務効率化といった分野で実際に利用が進んでいる。

国内のAIビジネス市場は2025年に約2兆円、19年度比約2倍になるだろう(富士キメラ総研)。当社グループでもAI活用が進んでいるが、長期間運用中に新規部品・製品を扱ったり、新設工場に適用したりする場合、未学習の物体を新たに解析対象とすることが求められる。AIの再学習には大量の画像・映像と正解情報、および長時間を要する。一方、再学習不要な登録型では、実用レベルの検出精度が実現できない課題があったという。

東芝は、新規物体の画像を1枚登録するだけで即座に世界最高精度で検出する「Few-shot物体検出AI」を開発した。同AIは、新製品や改良品等で扱う製品や部品が定期的に変更になる工場や、常に新規商品への対応が求められる物流現場など頻繁に新しい物体が登場する現場での活用が期待される。"画像に映る学習対象以外の任意の物体の形状を自動的に学習する"同社独自の仕組み・方式にて、事前に学習しておくことで――

製造・流通現場では、再学習が不要で、画像を1枚登録するだけで新規物体を検出することができる。公開データセットを用いた検出精度評価で世界トップ精度を実現している(2月同社調べ)。「Few-shot物体検出AI」により、再学習の手間や時間が障壁となりAI導入が見送られてきた顧客工場やプラントにおいても、データ化・デジタル化に貢献する。上記方式により登録型においても世界最高精度を達成したという。

同社は、多種多様な現場でのDXによる生産性・品質・作業効率の向上を推進する。導入・運用しやすい上記新開発技術の詳細を、国際会議ICIAP2021で5月25日に発表する。