ヘルスケアをデジタル技術でスマート化、臨床試験の評価精度アップへ

新薬や治療法の開発、開発承認後の製造販売後調査においては、臨床試験の一環として安全性や有効性に関するデータが収集され評価される。その際、被験者や患者から直接得られる経過や症状に対する主観的評価(PRO:Patient Reported Outcome)が重要項目の一つとされている。

被験者や患者の主観による「痛み」「気分が悪い」などの評価は、医師の客観的評価と異なることがある。また、紙ベースのPROでは、被験者や患者がタイムリーな回答を忘れてしまったり、入力漏れや入力ミスによりデータの信頼性に欠けたりすることもあるという。NTT Comは20日、製薬会社や研究機関が行う臨床試験の評価精度向上を実現するサービス「SmartPRO®」の提供を開始した。

同サービスは"ePRO"(電子版PRO)で被験者や患者がスマホから回答できる。調査側の企業・団体はそれらを閲覧またはダウンロードできる。「アナログ手段よりもタイムリーかつ信頼性の高いPROを確実に収集すること」「『SDPF』上に構築しているため安心・安全なデータ利活用」「アプリのインストールなど利用開始に伴う特別な準備や、ePRO利用時の運用負担を軽減すること」「トータルコストの最適化」がそれぞれ可能といった特長を備えた。

SmartPROを通して医療発展に役立つSmart Healthcareの実現に取り組んでいく。入力漏れ通知機能などを提供することで適時かつ高信頼のPRO収集を実現し、臨床試験において被験者や患者が回答するデータの精度向上に寄与する。同サービスは国内大手製薬会社での利用が決定しているという。

同社は、臨床試験後も被験者・患者が健康に関するあらゆるデータを記録できる日誌機能を22年度内に提供する予定である、上記サービスで収集したデータを安心安全に利活用し――QOL向上に貢献する新たなヘルスケアサービスも検討していく。