製造DX、工場・倉庫内で稼働するロボやAGV等との通信を安定化

自動化やIoTの活用といったDXが進められている。大いなるものづくり現場においては、エリアや工程をまたがって使用される搬送機器(AGV)やロボットなどに適用可能な高信頼・低遅延ワイヤレス通信ニーズが高まっているけれど、生産設備など、電波遮蔽物となるものが多くそれらは動かしがたい。

柔軟なライン変更などは難しく、安定した無線通信が課題になっているという。NECTTDCは、工場や倉庫内における移動体と安定的な無線接続を実現する無線制御システムを開発した。同システムは、「NEC 無線通信安定化ソリューション」を活用したTTDCの無線通信モジュールを自動車やAGVなどに搭載することで、ローミング時の切断や電波干渉による通信不良の発生を防ぎ、安定した通信を可能とするものだ。

NEDO運営の内閣府SIP第2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤ならびにNICTの研究成果を含む上記ソリューションをベースとした、同システムは、「通信品質が良い経路をリアルタイムに推定し、高速に切り替え可能」「ネットワーク仮想化技術により、既設アクセスポイントを活用可能」「小型化したモジュールにより、移動体への搭載を容易に」といった特長を備えた。

これにより常時・適時の情報取得や作業指示を可能とし、効率化等に寄与するという。両社は、同システムをトヨタ自動車元町工場に先行導入していて、生産性向上に貢献している。本取り組みの知見を活かし、トヨタ自動車や他の顧客におけるAGV・工作機械・ロボットなどの無線制御、検査データの収集、プログラム配信を行う仕組みの提供をめざす。

今回開発したシステムは、受信レベルが強く、かつ他の無線機器の干渉が少ない通信経路をリアルタイムに推定しシームレスに切り替えを行うことで、移動体と安定した無線通信を実現するものであり、今月東京ビッグサイトにて開催される「WTP2022」に展示するという。