安全安心な街づくりにAIを活用、行政DXを実証する

EBPM(証拠に基づく政策立案)に用いる客観的データの収集が重要になっている。その自治体では、安全安心でウォーカブル(居心地が良く歩きたくなる)なまちづくりを目指し、交通流や人流を測定してきたが、その労力、費用、作業時間に起因し調査期間が限定されるうえ――

収集できるデータの種類の少なさや精度の偏りなどが課題となっていた。上記まちづくりと業務の効率化を目標に産官協同で「スマート街路灯」の実証後、昨夏よりリアルタイムな河川監視・道路冠水把握のための「IoT街路灯システム」を運用している。NEC杉並区は今年2月~4月、行政DXの一環として、AIを活用し、道路灯のカメラ映像から交通流や人流を分析する実証実験を行った。

今回、国指定史跡「荻外荘」付近にある道路灯に設置したカメラの映像から、NECソリューションイノベータ「FieldAnalyst for Vehicles」を用いて交通流を中心に分析し、匿名化し統計データとして可視化した。車両・歩行者数に加え、車種や速度、移動方向、車線はみだし等の詳細データを常時収集し、平均交通量/日:3426(うち下り約7割)であった街路にて車道や歩道整備のポイントを明確化できた(映像は分析後廃棄)。

分析データに基づいて道路の整備・工事計画を立案することが可能になり、従来の人力データ収集・分析時よりも業務時間を9割超減らせることを確認した。数年に1回(1日12時間)だった測定が、いつでも自在に実施可能になるという。杉並区は交通安全の対策に向けて区内の車道や歩道における利用者の安全確保、まちの再整備を進めていく。

NECは、「映像クラウドサービス」等によるカメラ映像データを行政課題解決型データとして活用し自治体の安全・安心なまちづくりを支援するとともに、「NEC Smart Connectivity」データコネクトサービスの活用を推進していく構えだ。