働き方改革や若年層の採用強化に向けて、建設業界では就労環境を快適にしたり、労働負荷を軽減したりする取り組みが進んでいる。就労環境の改善には通勤・休憩などの質も向上させることが重要だ。
とくに、大規模な開発プロジェクトでは、多数の作業員の効率的な管理と快適に働ける環境づくりを両立させる必要があるという。大林組と、パナソニックコネクトは共同で、建設作業員への多様なサービス提供に向けた顔認証を活用した統合IDプラットフォームの構築に着手し、通勤時のシャトルバスへの乗降確認や入退場時のセキュリティチェックなどを想定した顔認証の実証実験を行ったことを今月13日に発表した。
2025年の大阪・関西万博開催に向けて建設工事が本格化する夢洲（ゆめしま）など、大規模な地域開発において優先度の高いサービスが上記セキュリティチェック――。近隣の駅からシャトルバスを運行することにより、通勤車両を削減でき、周辺道路の渋滞緩和やCO2排出量削減に寄与する。また、多数の建設現場が近接している場合、入退場時の確実な本人認証により、誤った現場への入場や不審者の侵入を防止できる。
そこで両社は、夢洲における建設工事を想定し、上述の各場面における顔認証の確実性と円滑性を実験した。結果、同サービスの提供による利便性・快適性アップを確認した。世界最高水準（NIST「FRVT 1:1」検証評価）の顔認証を活用し、作業員がカードやデバイスを持つことなく本人であることを証明できる統合IDプラットフォームに、顔画像情報と本人情報をID連携することで、顔認証であらゆるサービスが利用できるようになる。
今後、通勤時の専用シャトルバスの乗降確認や入退場ゲートでのセキュリティチェック、建設現場内での弁当や飲料の購入決済、現場内でレンタルする資機材や配達物の受け取りの際の本人確認など、さまざまなサービスの実展開を図っていく予定だという。