3D観測気象レーダーをアジア50ヶ所に展開、まずはハノイから

現在、ベトナムの気象レーダー網は全土をカバーしている。けれど同国の地形は複雑で、山岳地帯もあり、局地的な短時間の雨を検知することが難しい状況だ。

いまの観測技術(参考:NCHMF英文サイト)では、予報と警報を発表するには不十分だと感じているという。ベトナム気象水文総局と、レーダーの提供に関する協定を4月27日に締結した。ウェザーニューズは同局と連携し、高頻度観測小型気象レーダー「EAGLE Radar」の海外展開を行う。その第一弾として、7月にハノイに同レーダーを設置し、運用を開始(予定)する。

EAGLEレーダーは、周囲50㎞を30秒で3次元観測する新型の気象レーダー。半径50km以内の積乱雲の発達状況をほぼリアルタイムに捉えられるため、集中豪雨や突風、ヒョウなど、局地的な気象現象をより正確に把握できるという。同社と、ベトナム気象水文総局は、ハノイにこれを設置することで、より高解像度な観測を実現し、予測精度を向上させる。

洪水リスクの早期発見や警報の発表を決定する際の参考情報として活用され、レジリエンス強化の推進力となる。同レーダーの観測データは企業へも提供可能で、鉄道や道路、空港など交通インフラならびに各業界における活用も期待されるという。同社は、今後2年以内に日本を含むアジアの計50カ所に同レーダーを設置していき、グローバルにおける気象現象の監視体制を強化していく。

世界気象機関(WMO)と日本の気象庁との連携のもと、WMOの国際協力プログラムの一環となっている。新型レーダーの設置により、一層高解像度な観測が可能になり、集中豪雨などの局地的な気象現象をより正確に把握する効果が見込まれる。両者の今回の取り組みが新たな一歩を踏み出すという。ベトナム気象水文総局は、災害リスクの軽減と持続可能な経済発展への貢献に向けて、同プログラムおよびEAGLEレーダーを活かしていく考えだ。