観光スポットを車中メタバースで遠隔ガイド、行動変容と満足度向上へ

コンピュータにより創り出される3D仮想空間、高次・超越の宇宙を意味する「メタバース」が近ごろ熱い。それはサービスをも包含し、エンターテインメントから産業ユースへの広がりを見せつつあり、Society5.0ないしWeb3.0時代の成長が大いに期待されている。

今年3月4日~11日、凸版印刷は、MONETと共同で、時之栖(ときのすみか)の協力のもと――観光施設までの移動車中において人気オンラインゲームのメタバース空間を活用し、遠隔地からアバターガイドが適宜ナビゲートする――施設の事前体験によって観光者の行動変容を促すことができるかの検証、および事前体験の満足度を測定する実証実験を行った。

東京・横浜勤務のワーケション導入企業社員が参加した。実験では、MONETのマルチタスク車両(パンフレット)で富士山の麓、御殿場高原に佇むリゾート施設へ移動中、Epic Games「フォートナイト」のメタバース空間にクリエイティブモード王宮の丘禅堂などを登場させ、遠隔地から「リモート接客システム」で繋いだアバターガイドのナビゲートのもと、総勢38名の乗客は携帯ゲーム機を操作しながら、それがどのような場所なのかを事前体験した。

結果、体験前と比べて、事前の認知が低く行く予定ではなかったスポットへの訪問が増加した。体験者の7割超が事前体験の満足度を10点満点中7点以上と回答し、全体の満足度平均は7.3点。アンケート結果から、満足度を構成する要因は、メタバース上での観光施設の事前案内が最も高いことがわかったという。

同社は観光・買い物・スポーツ観戦などの移動を伴うあらゆるシーンにおいて、移動の高付加価値化向けた「メタバースによる事前体験」や「リモート接客システム」を含む『新しい体験』を設計・提供していく。メタバースCXプロデュース事業を'23年度までに関連サービス込みで売上10億円にしていく考えだ。