ネットにつながる文具、IoTペンで日々の努力を見える化する

文部科学省の平成24年調査で、公立小・中学校の通常の学級において学習面/行動面で著しく困難を示す子の割合は6.5%と推定されている。全国の小中学校では、困難な状況に置かれるなどして不登校となる子たちが2018年に16万人いた――

特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果ならびに平成30年度同省調査結果の概要が上述の実態を示している。一方、発達障がいへの理解や支援について、以前よりも社会の関心は高まっているものの、支援ニーズに供給が追いついていないのが現状だ。家庭でも同様の課題が存在する。学童期の子が机に向かう、それが習慣となるよう保護者や教育者は様々な工夫をしている。

周囲の尽力にも関わらず、「取り掛かりまでに時間がかかる」「持続して机に向かえない」「運筆が不安定」などと、各種要因から子どもの学習習慣の獲得は容易ではないという。コクヨは今月21日、京都橘大学大阪公立大学ほか3大学1施設の研究チームと共同で、「しゅくだいやる気ペン」を用いた――発達に特性があり、生活や学習に工夫を要する子たちに対する――学習支援の研究を開始した。

学習支援ツールとしての「しゅくだいやる気ペン」の有効性を検証するため、同チームは、約100名の対象者に、日々の努力を見える化する同ペンを使った家庭学習を行ってもらい、質的な変化を分析する班と、当該ペンから得られるIoTデータを分析する班にわかれて研究を行う。2班は相互連携しながら、来年12月を目途に、研究成果をホームページおよび各学会で発表する。

質の面では、同文具を教育現場における学習習慣獲得のための一方策として検討し、専門職(作業療法士)視点にて、同ツールの教育及び療育現場での適応の方向性を示す。IoTデータ分析→現場フィードバックのサイクルを回し、個性に合わせた習慣化の方法、家庭学習支援・やる気向上策等を見出していくという。