芸術系オンライン授業を"映像と音声"の低遅延伝送で行う

その拠点では、芸術と科学技術の融合によって、次世代のインフラとなる豊かな文化的コンテンツの開発を行う。そして、教育産業を通した文化教育コンテンツならびに国際関係の構築に資する文化外交アイテムの、社会実装を目指す。

芸術の力による日本の文化立国と国際的な共生社会の実現をめざしているという。COIプログラム「『感動』を創造する芸術と科学技術による共感覚イノベーション」(@東京藝術大学)において、今年3月までプロジェクトリーダーを務めていたJVCケンウッドは、同COIの参画企業ヤマハと、「映像」と「音声」の低遅延伝送による"芸術系オンライン授業システム"の共同開発契約を昨年11月に締結――

同システムの実現に向けたヴァイオリン遠隔レッスンによる実証実験を実施し、離れた2拠点間の映像と音声を双方向に伝送することで遅延や画質、音質について検証し、低遅延遠隔レッスンの有効性と課題を確認したことを今月19日に発表した。

ヴァイオリニストの澤和樹先生と、吉川采花氏による遠隔レッスン形式で実施した。凸版印刷の「DIGITAL SANDBOX HONJO」と「NIPPON GALLERY TABIDO MARUNOUCHI」を、ブロードバンドタワーの専用回線で接続し、ヤマハとの共同開発による低遅延伝送装置を介して、上記双方向伝送を行った。MARUNOUCHIでは大画面モニターに生徒を等身大で映し出し、臨場イメージ体験を提供した。

伝送装置での遅延約50ミリ秒に加え、ビデオカメラ内部での映像信号処理でも遅延が発生するが、今回、カメラ内部の遅延を極限まで抑えて、伝送全体の遅延量削減を実現した。両地点をネットワーク経由で同期し、高品質な映像と音声の長時間伝送も可能にした。JVCケンウッドは、低遅延遠隔レッスンにおける同システムの有効性と、レッスン内容ごとに異なる最適な遅延量や没入感の課題をつかんだという。