現在、UNFCCCにおける温室効果ガス(GHG)インベントリでそれは任意算定となっている。海に囲まれた日本でも算定対象になっていない。昨年より国交省が中心となってそれを算定対象とする検討を進め、第1回検討会(PDF資料)を傍聴した自治体も独自にブルーカーボンクレジット制度への取り組みを進めている。そのなかで、海藻の種類や海域の違いを踏まえた精緻なCO2吸収量の把握が困難であることが明らかになってきたという。
NTTデータは熊本県上天草市と共同で、アマモのCO2吸収量を測定する実証事業を2月~3月に実施。同社がドローンの空撮画像を分析し、NTTデータ経営研究所が同海藻のCO2吸収量を定量的に算定・評価した結果、そのCO2吸収量とともに実測の重要性が明白になったという。アマモの年間CO2吸収量は文献値を使った場合で41.29 kg-CO2/年、実測値を使った場合で31.75 kg-CO2/年と算定された。
実測値を使う場合と文献値を使う場合では約20%の差分があり、ブルーカーボンの精緻な把握には土地ごとの特性、および算定時期を考慮に入れる必要のあることが分った(算定式:面積×吸収係数)。今回、分析に用いた画像では波や太陽光反射等、気候条件によって海藻の種別や密度(被度)の特定が困難なケースもあり、水中ドローンの活用など複数のモニタリング手法を確立する必要性も判明したという。
グループで環境エネルギービジョンを掲げる同社は、上記成果を基に、ブルーカーボン生態系の活用等によるCO2吸収源対策への取り組み(閣議決定資料)、持続可能なコストでの実用化に寄与していく考えだ。