医療サービスDX、バーチャルホスピタルにて様々な人との交流を生む

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い、オンライン診療が周知された。臨床現場では、近ごろ技術進化が著しい仮想現実/拡張現実(VR/AR)の活用に向けた研究が進んでいる。

3次元の仮想空間でアバター(分身)を通じて活動する「メタバース」も注目されている。今後は、臨床現場でのオンライン診療やVR/ARの活用に加えて、メタバースの応用が進んでいくことが予想されるという。順天堂大学日本IBMは今月13日、「メディカル・メタバース共同研究講座」を設置し、産学連携の取り組みを開始したと発表。同講座では、メタバース技術の活用による時間と距離を超えた新たな医療サービスの研究・開発に取り組む。

研究成果をメタバースでの新たな医療サービスとして社会実装し、患者の体験向上やメンタルヘルス改善などの場面において、社会に還元していく。今回3つの取り組みを並行――。①短期実施テーマとして、順天堂医院を模した「順天堂バーチャルホスピタル」の構築、患者や家族が来院前に仮想的に病院を体験できる環境を検討していく。アバターとしてバーチャルホスピタルを訪問するユーザーが、医療従事者や患者、家族などと交流できることを目指す。

②外出が困難な入院患者が病院の外の仮想空間で家族や友人と交流できる「コミュニティ広場」を構想している。他にも、バーチャルホスピタルにて、説明が複雑になりがちな治療を疑似体験することによって、患者が治療に対する理解を深めたり、不安や心配を軽減できるかの検証を予定している。
③中長期実施テーマとして、メタバース空間での活動を通じて、メンタルヘルス等の疾患の改善が図れるのかを学術的に検証する計画である。

「順天堂バーチャルホスピタル」では多彩な施設の利用シーンを想定している。その空間内を自由に探索するユーザーが他のユーザーと交流する。短期実施テーマに関する試作品を今年中に発表する考えだ。