一方、環境価値取引の活性化にはカーボンクレジットの市場流通量の拡大が喫緊の課題となっている。そこで、自主的なカーボンクレジット市場拡大を目的に設立されたTSVCMなど、国際イニシアチブは、取引規模の拡大に向けた提言や取引制度の標準化活動を推進している。日本国内においては、官民が連携し、カーボンクレジット活用のための環境整備の検討などが進められている。
温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する「J-クレジット制度」では、個人や中小企業の環境価値創出機会の掘り起こし、クレジット創出・活用プロセスのデジタル化推進、取引市場の創設など、需給拡大や環境整備に向けた施策も検討されているという。IHIと富士通は、カーボンニュートラルの実現に向けた貢献と、新たな環境価値取引エコシステムの市場活性化を目指した共同事業プロジェクトを今月1日に開始した。
IHIのIoT基盤「ILIPS」を通じて収集されたデータから算出したCO₂削減量を環境価値としてトークン(デジタル権利・資産)化し、異なるブロックチェーン同士を安全に相互接続する富士通の「ConnectionChain」を活用して環境価値取引市場に流通させる、プラットフォームを立ち上げ、効率的な環境価値の流通を目指す。
両社は、2022年度中の環境価値流通プラットフォームの実現を目指すとともに、今回の取り組みに賛同したパートナー企業や関係省庁、団体などとの議論や実証事業なども進め、ビジネスの具体化とカーボンニュートラルの実現に寄与していく構えだ。