オンラインAI活用リハビリにて消化器がん患者の回復を促進する

医療資源が不足している。専門資格を持った人や場所が足りない現場では周術期――入院、手術前後、術後回復、社会復帰までの一連期間――でのリハビリテーションを、必要十分な量・質で提供する余地の乏しいことが課題になっているという。

エクサウィザーズは11日、大阪大学大学院医学系研究科消化器外科江口英利教授)と共同で、消化器がん患者の周術期にAIを活用したリハビリ支援プログラムを提供し、術後アウトカム向上に役立てる実証を開始した。一定期間の検証後に幅広いがんへの適用可能性、医療だけでなく製薬や保険などでの活用も検討するという。

周術期のリハビリテーションが提供されていない消化器がん患者に、同社が脳疾患および整形疾患領域で培ってきたリハビリテーションのオンライン支援技術を用いた「がん患者リハビリ支援プログラム(オンラインがんリハ)」を受けてもらう実証を、同研究科とともに行う。リハビリテーションの効果測定は一般的な検査のほか、エクサホームケアの歩行解析AI「CareWiz トルト」を用いて身体機能を評価することで実施する。

オンラインがんリハでは、受診や入院をしなくてもインターネット経由でAI解析を用いた必要量のリハビリテーションを受けられる。従来のオンライン形式のリハビリテーションは一方通行となりがちだったが、同プログラムは医療従事者と患者の双方向にて、支援を継続的に授受できる。AIを用いた要因分析や、結果を活用した支援アプリの開発も予定しているという。

その有用性が立証された後には治療用アプリの開発も視野に、がん患者を治療する全国の医療機関へ展開――。他のがん領域を含む周術期におけるリハビリテーションで普及し、多くのがん患者のアウトカム向上(入院日数や合併症の減少やQOLの早期回復)に寄与すること、さらにはより良い治療の促進と実行を伴走する医療AIプラットフォームの構築もめざしている。