農業・福祉連携ビジネスDX、IoT技術により障碍者の作業を見守る

農作業支援における安全管理は、現場管理者が農作業従事メンバーを監督することで行われる。しかし作業地が広大で、見通しの悪い場所があったり、作業者が複数箇所に分散したりすると、監督側の目の届きにくい状況が発生し、不慮の事故に素早く気付けないことがある。

これまでの安全管理体制にはリスクが存在していた。そのうえ支援現場には、夏季のビニールハウス内の作業における熱中症リスク回避など、目に見えない体調面のモニタリングが必要となる場面も存在するという。NSSOLは、昨年4月に設立した特例子会社Act.の徳島オフィスでの"農福連携"事業向けに、IoTデバイスを用いて障がいを持つ人の作業を安全管理の観点から見守るIoXソリューション「安全見守りくん」の提供を先月から行っている。

Act.は、農業と福祉と企業のパートナーシップによってそれぞれの分野が抱える課題を解決し、地域共生社会を実現する"農福連携"に取り組んでいる。その一環として同年10月に徳島県鳴門市にオフィスを開設。農業法人等への農作業支援を行っている。そして今回、現場管理者や作業者の安全状況をリアルタイムに把握することで緊急時には迅速な対応ができる体制の実現を目的に、「安全見守りくん」の導入を決定した。

現場作業者に異常が発生した際には現場管理者へアラートで通知するとともに、作業時間帯中は東京のAct.本社からも常時見守る体制を整備した。見守り対象者10名が身に着ける端末には、携帯性がよく、ハンズフリーで農作業に支障が生じない、障がい者も容易に操作可能な首かけ式デバイス――昨夏よりNSSOLが協業しているフェアリーデバイセズの、THINKLETを採用した。

安全見守りくんは、日本製鉄など複数の顧客現場で運用されている。さらには高知県北川村のゆず栽培事業における農作業者の見守りに活用する実証実験(21年8月ニュース)も行われているという。