多様な電波が飛び交う工場など狭空間でIoT通信を見える化する

IoT(モノのインターネット)の普及に伴い、様々な機器やデバイスがインターネットに接続される時代がやってきた。第四次産業革命だとか、インダストリー4.0時代だとする昨今、可搬性または可動性が求められる機器やデバイスに関しては、無線でネットワークに接続されることが望まれている。

これまでのWi-Fi、Bluetooth、RFIDだけでなく、Wi-SUNをはじめとする省電力・広域無線通信(LPWA)や5Gなどの新しい無線システムも導入されつつある。が、今後、無線を用いたIoTの本格的な普及フェーズに入り、工場やオフィスなどの狭空間に、無線センサノード、無線アクセスポイントが密集する環境においては、異種無線システム間で瞬時の干渉が発生し、本来の通信特性が得られなくなってしまうことがあるという。

東北大学電気通信研究所末松研究所)は、工場等の狭空間内を飛び交う複数の無線システム機器が送受信する無線IoT周波数帯の信号や雑音を見える化できる広帯域リアルタイム周波数スペクトラムモニターを開発した。

新開発技術による試作機では、無線IoT周波数帯(920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯)でバースト状に発生する通信信号あるいは製造機器から発生するノイズの状況を、リアルタイムに監視・記録することが可能。小型(試作機サイズ280mm x 195mm x 45mm、重量2.11kg)で、低コスト構造のため、工場内に複数配置可能――ゆえにエリア毎のスペクトラム記録可能であることを確認した。

この度の研究は、総務省の「電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)」における委託研究「狭空間における周波数稠密利用のための周波数有効利用技術の研究開発」(PDF)および「高ノイズ環境における周波数共用のための適応メディアアクセス制御に関する研究開発」(PDF)により実施した成果を含んでいるという。