交通事故に遭う学童をIoT技術により減らしていく

平成23年~令和2年の交通事故死者・重傷者数は、小学生においては「歩行中」が最も多く、56.5%を占めている。

IT(情報技術)の浸透が人々の生活をより方向に転換していく概念「デジタルトランスフォーメーション」の実現および推進が各方面で喧伝されているなか、内閣府の令和3年版交通安全白書をひも解けば冒頭に述べた実状が見えてくる――。「歩行中」の交通事故死者数は、小学校低学年で「通学など登下校」が多くなっていて、小学生の登下校時における交通事故が社会問題になっているという。

村田製作所金沢大学藤生研究室は今年2月~3月、小学生の交通事故の削減に向けて、IoT(モノのインターネット)技術を活用した共同実証実験を実施した。金沢大学附属小学校近辺において、同校の児童20人を対象に交差点部における音による一時停止効果の実証をIoTデバイスを用いて行った。

同研究室の交通安全研究に関する実績と同社が培ってきたIoT技術を活用し、見通しの悪い交差点で、児童に対して音声情報を提供することで、飛び出し抑制の効果を検証した。その結果、児童の左右確認と一旦停止行動に一定の効果があることが確認できた。

4月6日からの「春の全国交通安全運動」期間中も、上記実証実験を継続していく予定だという。両者は、さまざまな交通環境や音声パターンでの実証実験を実施し、児童の交通事故という社会課題解決に向けて協働していく構えだ。