スタンドアロン5Gと拡張現実で組立作業を支援する

5G通信ネットワークの性能のさらなる進化が見込まれる。スタンドアロン(SA)方式の5Gサービスが始まっている。今日、製造業や鉄道、電力などの社会インフラ分野では――

大容量や低遅延の通信に加え、通信の遅延や障害により業務が停止した場合、復旧に時間がかかり、生産計画や設備保全などに影響を与えるため、5Gのさらに高い信頼性や安定性の確立が求められているという。

日立NTTドコモは、製造業や社会インフラ分野でのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けたLumada×5Gユースケース創出のため、SA方式の5G環境下で、AR(拡張現実)技術を活用した組み立て作業支援のアプリケーション「AR組み立てナビ」が安定稼働できるかを確認する実証実験を3月1日~29日に実施した。

技術開発中のAR組み立てナビは、作業現場の映像データをAIでリアルタイムに分析・判断し、作業台上にプロジェクターから作業者がとるべき行動をプロジェクションマッピングで表示することで、的確な作業支援を行う。このような、映像データをリアルタイムで分析・活用する取り組みでは、現場での物理的な配線や設備を考慮せずに導入できる無線、かつ大容量・低遅延に処理を行えるエッジコンピューティングの環境が要求される。

そこで今回、日立の研究開発拠点「協創の森」にてドコモの5Gサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド®」を用いてエッジコンピューティングの実証環境を構築。検証を行った結果、4G LTEでは満たせなかったAR組み立てナビの安定稼働のための許容条件をクリアできることを確認した。

両社は今後も連携し、上記成果も活用しながら、さまざまなアプリケーションを活用した実証を積み重ね、高信頼で安定したパブリック5G環境およびその環境を生かした効果的なユースケースの確立により、製造業や社会インフラ分野のDX実現を支援していく考えだ。