コンテナ型DCでIT機器を液浸冷却、消費電力4割減に成功

情報技術(IT)の活用による様々な仕組みのDXが急進展している。昨今、膨大な情報を処理・格納・伝送するデータセンター(DC)は、現代の生活や文化を支える社会インフラとしての重要性を増していて、サーバー追加やDC増設の需要が高まっている一方で、脱炭素化も要求されている。

サーバーが発する熱を高効率の冷却装置で冷却することで消費電力量を抑制し、環境に与える影響を最小限に留めることが求められているという。KDDI三菱重工NECネッツエスアイは、 液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置(液浸装置+ラジエーター)を活用し、DCを小型コンテナ(12ft)に収容して稼働させる実証実験に成功した。

DC全体の消費電力量(kWh)/IT機器の消費電力量(kWh)=PUE1.7の従来型DCとの比較で43%の消費電力削減――PUE1.07のコンテナ型スモールDCを実現した。3社は上記"液浸冷却装置"について、大規模DCへの導入に向け、4月1日~来年2月28日に多数の協力企業と共に、KDDI小山TCでの試験運用を行う。KDDIは24年度中に同装置の商用提供を目指す。

当該試験運用では、①冷却効率の立証:最適化されたラジエーターや外気冷却装置を開発し、DCでの実装を想定した排熱処理能力アップと省電力化を目標に、日本の厳気象などを想定し、冷却能力が十分に機能することを確認。②高可用性の実現:液浸冷却装置および外気冷却装置に可用性を持たせ、ティア4(参考:Uptime Instituteによる階層分類)レベルのDCでの実装設計を具現化し、安定稼働の成立性を検証。

③商用導入計画の具現化では、保守体制の検討も含めた実践的な運用を行い、国内での商用普及や導入計画を具体化していくという。3社は、国内のデジタルトランスフォーメンション(DX)の発展に寄与するとともに、脱炭素化および地球環境保全に貢献していく構えだ。