建設現場DX、コンクリートの調整量をモバイルアプリで自動計算する

"当日"打設する数量を"手計算"する。コンクリートの打設計画では、施工図面から拾った体積を積算――設備配管等の埋設物や型枠の変形が考慮されない計算量と実需が異なることも多く、現場で使用されずに処分される"残コン・戻りコン"が発生しやすい。

残コン・戻りコンを少なくするため、既発注分が途切れず打設遅延もしないようにその日の最終発注時刻を設定し、未打設範囲を実測・計算して、速やかに過不足調整した発注量を決定する。打設状況、打設スピード、残数量、運搬時間、コンクリートの出荷状況などを常時ないし即時把握しつつ、タイムリミット内に実測と計算が並行されるコンクリート打設の管理業務は、現場技術者にとって非常に大きな負担になっているという。

西松建設フォーラムエイトは、iPadに表示した施工図面の未打設部分を囲むとその領域のコンクリート体積を自動算出し、最終的に必要なコンクリートの調整量を自動計算するアプリを開発した。同アプリを用いたコンクリート打設管理システムにて、業務の効率化、長時間労働の軽減、残コン・戻りコンの大幅抑制による環境負荷の低減、そしてSDGs12「つくる責任 つかう責任」への寄与も実現する。

配送管理者がアジテータ車のコンクリート荷卸完了時刻を入力すると、所定時間内に荷卸したコンクリート数量が同システムに登録される。未打設範囲のコンクリート体積、発注済みコンクリート数量、荷卸コンクリート数量から、追加発注すべき調整数量を自動計算する。

鉄筋コンクリート造りの共同住宅/現場検証では、未打設部分の体積が50~10立米程度までの段階的な進捗にあわせて計測管理した結果、計測値と実荷卸量の差は最大1.22立米、平均0.52立米であり、高い精度で調整数量を算出できた。今回の技術・仕組みをさらに進化させていくという。両社は22年度をめどに、フォーラムエイトを介して同システムを外販する予定だ。