独自AIアクセラレータ向け評価基盤にてSoC開発各社をサポート

「IoT」が膨大な現場データを生みだす。そしてそのビッグデータを「AI」が超スマート社会や産業革新につなげていく。半導体集積回路ベースのAI技術は今、物理的な微細化の限界および消費エネルギーの増大といった壁を前にしている。

省エネで効率的にAIを動作させる競争著しいSoC(AIチップ)の開発について、日本でも多数の企業が名乗りを上げている。が、半導体設計の高度な技術が求められるうえ、高額な回路設計ツールや検証装置等を揃えねばならず、中小・新興勢などにはそれらが自らのアイデアをチップ化する際の大きな障壁になっているという。

そこで「AIチップ開発加速のためのイノベーション推進事業」に取り組んでいる。NEDOは、産総研東京大学と共同で、エッジ向けAIチップの設計を容易にするため整備中の「AIチップ設計拠点」にて、AIアクセラレータ開発用評価プラットフォームの実証チップ「AI-One」に6種類のアクセラレータを混載し、その試作品を評価ボードに実装した結果、設計通りの周波数で動作することを確認した。

今月25日の「AIチップ設計拠点フォーラム」で上述の成果等を紹介する。同プラットフォームを使うことにより、各企業が設計したAIアクセラレータ搭載SoCを擬似的に作成できる。これにより、短期間(従来比45%以下)かつ低コストでの設計と評価が可能になるという。

3者は今回、AXELLDMPプリバテックLeapMindロジック・リサーチの協力を得て上記プロジェクトを達成した。協力各社はこの度の実証チップAI-Oneを用いて、設計段階で見積もった各AIアクセラレータの消費電力や性能等について査定し、さらに詳細な評価を進める。そのフィードバックを活用し、3者は一層使いやすいエッジ向けAIチップの評価プラットフォームを確立。日本の中小・ベンチャー企業などのAIチップ開発を後押ししていく構えだ。