各種製造装置等の異常を早期検知するAIシステムを構築する

産業界でAIの活用が進んでいる。画像解析/分析による品質・生産性向上のほかにも、様々な装置や設備の安定稼働にAIを役立てる。AIによる異常予兆検知の多くは、トラブル時の異常データを大量に学習させることで機能する。

ところがトラブルの頻度は低い。そのためそれら異常データを十分に得られなかったり、前例のない事象をAIがうまく判定できなかったりといったことが起こり得る。そこで、大阪ガス宇部情報システム(UIS)は、正常時の製造運転データを学習させたAIにより過去に経験がない異常予兆を早期に検知するシステムを開発。UISは4月1日より同システムの構築サービス「SAILESS(仮称)」を提供する。

同システムによる異常予兆検知を8ヶ所に計14台導入している、大阪ガスリキッドでは、顧客向けに高性能な触媒技術を活用して都市ガスから高純度の水素を製造する装置「HYSERVE」の設置と保守業務を組み合わせたサービスを展開――'20年4月より当該装置において、保全メンテナンスの改善が図られているという。上記AIシステムは、リアルタイムの製造運転データの状態・傾向を監視し、異常予兆を検知すれば通知する。

上下限アラートでは検知が難しかったいつもと違う動きを早期に検知できるようになり、装置の緊急停止などによる損失を未然に回避できる。異常予兆を監視することで、事後保全や時間基準保全を、計画的な状態基準保全へと移行でき、業務の効率化、費用の削減につなげられる。装置のオーバーホールや経年による精度低下を防ぐためのAIモデル再学習については、顧客が自らできるようになり、コスト削減と迅速なシステム更新を実現する。

「SAILESS(仮称)」では、対象装置に合わせたAIシステムを構築することで、多種多様な装置に適用できると考えていて、特に、製造業における各種機械装置や反応装置などへの展開を期待しているという。