高セキュリティレベルの手荷物検査を持続可能とするためには、ベテラン検査員の技とノウハウの継承が重要だが、労働人口減少下での人財育成は難しく、経験の浅い検査員は検知に時間を要するといった課題もあるとして、南紀白浜アポートと日立は「保安検査を支援する人工知能(AI)技術の実用化に向けた実証実験」を行っている。そして3月1日、JALは、同実証実験への参画を発表した。
JALの参画により、これまでの技術検証に加え、危険物に関する最新情報や他空港での知見をいち早く共有し、AIに学習させることが可能となるため、AIの精度向上が期待される。来年3月末日まで行われる上記実証実験により、空港の保安検査業務の高度化および検査時間の短縮化を図り、より安全・安心でストレスフリーな空の旅を実現していく。
実証に用いるX線検査判定支援システム/日立ソリューションズ製「X線検査判定支援ソフトウェア」では、既存X線装置の操作をそのままに、AIが視覚的なサポートを実施し、検査員の負荷を軽減。AIがX線の画像を分析して、検知した物品名を表示し、注意を促す。物品が重なっていても見分けることが可能となる。そこに、JALが実証実験対象データおよび保安検査(手荷物検査)に関するノウハウを提供する。
それらにより上記ソフトウェアのチューニングおよびAIの追加学習を実施。顧客の手荷物画像データに対する自動検知状況(検知率、誤検知率)と、保安検査員の評価を確認するという。3社は実証場所を他空港にも拡げ、AIが学習する持込禁止物の仕様・形状の幅を広げるなど、より汎用性の高い技術の確立をめざしていく。