近年、造船業界では、3D CADソフトウェアの機能向上に伴い、3D技術を活用した造船設計プロセスの変革が加速している。そこで、船体構造設計支援ソフトウェアに対して、設計負担の軽減に繋がるよう、3D設計システムとのデータ連携を順次強化してきた。業界関係者と協業し、図面承認まで含めた3Dモデルによる船舶設計の高度化への検討も進めているという(20年3月ニュースリリース)。
日本海事協会(ClassNK)は今月2日、船体構造設計支援ソフトウェア「PrimeShip-HULL」と、フィンランドに本社を置くNAPA Group (NAPA)の3D船舶設計システム「NAPA Designer」のデータ連携機能を刷新したと発表。今回、NAPA Designerのアプリケーションプログラムインターフェース(API)を最大限に利用し、同システムからシームレスにPrimeShip-HULLの算式計算及び直接強度計算を実行できるようにした。
さらに、計算結果に基づく修正を、直接NAPA Designerの3Dモデルに反映させることを可能とした。これにより、従来の中間ファイルを介した手順と比較し、データ連携に要する工数を30%以上削減するとともに、より高精度の連携を実現した。機能刷新の対象は調和CSRが適用されるばら積貨物船及び油タンカーだが、対象船種は今後さらに拡張していくという。
ClassNKは、造船設計プロセスの効率化と、その先にある3D図面承認の実現に向け、3Dモデルをコアとした船体構造設計をサポートする強力なソフトウェア環境を提供していく構えだ。