船体構造設計と3D船舶設計とをデータ連携

'80年代に利用が広がり始めた。作図を立体化かつ自動化し、図面共有を視覚的に容易にするコンピュータ支援型設計技術――3D CADは、コンピュータ自体のダウンサイジングが進む一方で性能が格段に向上したことなどから、様々なモノづくり現場で活用されている。

近年、造船業界では、3D CADソフトウェアの機能向上に伴い、3D技術を活用した造船設計プロセスの変革が加速している。そこで、船体構造設計支援ソフトウェアに対して、設計負担の軽減に繋がるよう、3D設計システムとのデータ連携を順次強化してきた。業界関係者と協業し、図面承認まで含めた3Dモデルによる船舶設計の高度化への検討も進めているという(20年3月ニュースリリース)。

日本海事協会(ClassNK)は今月2日、船体構造設計支援ソフトウェア「PrimeShip-HULL」と、フィンランドに本社を置くNAPA Group (NAPA)の3D船舶設計システム「NAPA Designer」のデータ連携機能を刷新したと発表。今回、NAPA Designerのアプリケーションプログラムインターフェース(API)を最大限に利用し、同システムからシームレスにPrimeShip-HULLの算式計算及び直接強度計算を実行できるようにした。

さらに、計算結果に基づく修正を、直接NAPA Designerの3Dモデルに反映させることを可能とした。これにより、従来の中間ファイルを介した手順と比較し、データ連携に要する工数を30%以上削減するとともに、より高精度の連携を実現した。機能刷新の対象は調和CSRが適用されるばら積貨物船及び油タンカーだが、対象船種は今後さらに拡張していくという。

ClassNKは、造船設計プロセスの効率化と、その先にある3D図面承認の実現に向け、3Dモデルをコアとした船体構造設計をサポートする強力なソフトウェア環境を提供していく構えだ。