食品工場等で、教えなくても作業をするロボットが導入可能に

サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、人間中心の超スマートな社会を築こうという。日本では昨今、AIをはじめとするITおよびロボティクスを活用して、各種産業現場や社会のしくみをより良ものにしていく動きが活発になりつつある。

今年2月28日、三菱電機は、専門知識がない人でも音声や簡単な項目選択でロボット動作プログラムを自動生成できる"簡単作業指示技術"を新開発――それと多関節形ロボットの動作最適化などによる、作業内容を教えずとも人と同等の作業速度を実現する「ティーチングレスロボットシステム技術」を発表した。

AI技術「Maisart®」の一つとして騒音下でも高精度に音声認識できるAIを新たに開発し、業界初だという音声による作業指示を実現。3Dセンサで検知した画像や計測距離など、周囲の3次元情報とAR(拡張現実)技術を組み合わせることで、作業動作を視覚的に確認可能とした。簡単作業指示技術と、ロボット動作指令の自動生成調整技術により、プログラム生成・調整にかかる時間を従来比10分の1以下に短縮(社内ベンチマーク結果)。

速度や障害物回避など作業内容に適したロボット動作指令を自動生成でき、1ピックあたり最短2秒の作業速度を実現する、ロボット動作の自動高速化技術も開発。ロボットハンドの開閉タイミングを自動調整・最適化することで、ロボットが停止している無駄時間を削減する。この技術では、ロボットハンドに取り付けたカメラによる画像情報を用いることで、ロボットの設置位置やつかんだ対象物を置く位置がずれても、ロボットの動作を自動補正できる。

例えばメニューが頻繁に切り替わる食品工場など、これまでロボット導入が難しかった盛り付けや仕分けなどの作業工程の自動化促進に貢献するという。ティーチングレスロボットシステム技術は今月9日~12日、「2022国際ロボット展」にて披露される。