過去の事例データからAIがルールを発見、品質管理や顧客分析へ

データに基づく現状分析が様々な業界で脚光を浴びている。近年、AIを活用した製品の品質状況の予測や、顧客の購買行動予測が行われていて――、将来予測とその予測結果をもたらす要因の提示をAIが行い、改善策や対策は専門家の経験に基づいて立案されている。

人手不足の深刻化や熟練技術者や専門家の高齢化が進むなか、技術や経験、ノウハウを伝承するとともに、AIを活用し、将来予測とともに施策立案まで含めたトータルな支援が求められているという。NECは、過去事例データから事象の要因とその発生条件を導き出すことで具体的な改善条件を提示し、人が理解しやすい表現で施策立案支援を可能にするAI技術「ルール発見型推論技術」を開発した。

製造業や小売業、金融業などにおいて、製品不良要因の事前特定や顧客の購買行動分析などに貢献する。たとえば従来構築されるルールが膨大すぎて現実的でなかった製造業における製品不良の要因分析において、同技術は、各ルールの優先順位付けを独自の方法で行うことにより、より少なく、より高精度なルールを探っていく。オープンデータを用いた実験では、事例全体をカバーするのに既存手法で50個近いルールが必要だったものが――

同技術では十数個のルールで達成できることが確認できた。また、小売業における顧客の購買行動分析においては、過去の顧客の購買データや店舗施策データなどを基に、新規顧客から優良顧客へ何をきっかけに変化するか、その条件が可視化され、具体的な施策立案支援のできることが確認された。

例えば「商品Aの購入数が10点より多く、かつ来店回数が50回より多いとき、90%の確率で商品Bを購入する」などの、結果につながる具体的要因とその発生条件が提示できるため、施策立案が容易になるという。同社は、ルール発見型推論技術を購買行動分析に活用したデモを「リテールテックJAPAN 2022」にて披露する予定だ。