ICT施工におけるBIM・CIM管理を一層高度化、業務の効率化へ

建設現場におけるICT(情報通信技術)の全面的な活用、建設生産システム全体の生産性向上を国交省が推進している。その中で、BIM/CIM(建物/建設情報モデリング管理)について、2023年度から小規模を除く全ての公共工事に原則適用することが発表されている。

"i-Construction"が進められているとはいえ、建設工事ではさまざまな条件により施工計画の変更が発生し、その都度、工程やコストなどの見直しが必要となる。構造物の3次元モデル(設計図)、工程情報、積算情報はそれぞれ異なるシステムで管理されることが多く、施工計画の変更に伴う各情報への反映に時間を要してしまう、課題があったという。

奥村組パスコビーイングは、構造物の3次元モデルと工程情報(時間軸)を連携した「4次元施工シミュレーションシステム」の開発・適用を進めてきた。そしてこの度、当該システムに積算情報を加えた「5次元施工シミュレーションシステム」を開発し、鉄道高架工事の実検証において、その有効性を確認したことを今月14日に公表した。

パスコの3次元データ統合ソフト「PADMS」をベースとし、ビーイングの工程管理ソフト「BeingProject-CCPM」および積算ソフト「Gaia」を連携させた、新開発システムは、シミュレーション機能を搭載し、工事の進捗状況とコスト情報を一つの画面上で確認でき、施工計画の変更に柔軟に対応できる。これにより、進捗状況の管理に加え、施工計画の変更に伴うコスト情報の一元管理が可能となり、建設現場における業務効率化が図れるという。

3社は、実工事において「5次元施工シミュレーションシステム」の適用を進め、ノウハウの蓄積とシステムの改良を重ねるとともに、多様な工種への展開をめざす。BIM/CIMの原則適用を見据え、同システムの機能向上を図り、生産性向上に寄与する仕組みとして展開していく構えだ。