30年分の高精細な雨量データにて、災害対策や事業計画等を見直す

異常気象は地球規模で起こっている。昨今、激甚化する自然災害に対して、世界各国では温室効果ガス排出量を削減してそれを抑えようとしている。企業では気候変動の影響を想定した経営戦略が求められているという。

ウェザーニューズは9日、顧客企業のDXを推進するデータ提供・分析サービス「WxTech®」において、気候変動リスク分析を支援する気候データセットの販売を開始した。その第一弾として、1998年~2021年の気象庁解析雨量を1時間毎かつ1kmメッシュの解像度で再解析した「解析雨量データ」のCSVファイル提供を始めた。22年以降のデータも随時追加していくという。

これによりリスク評価・分析する企業は具体的な対策をとれる。例えば、拠点における大雨の被害状況と当時の雨量を照合することで、施設・設備の維持管理判断基準となる雨量やBCP(事業継続計画)の見直しなどが可能となる。災害発生の基準値を正確に把握し、40mm/hの雨が降った場合に止水板を設置していたところを、30mm/hの雨で設置するように改善できる。

30年分のデータをAIに学習させて需要予測――雨の日に売れる/売れない商品の仕入れを調整して、販売機会増や廃棄ロス削減につなげられる。また、30年の歴史における拠点周辺の最大雨量を把握し、「平成27年9月関東・東北豪雨」「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」等を教訓にして、災害対策やBCPを練り直すことも可能だという。

同社は今後、2100年までの雨風・気温など予測気候データを国内外で提供していく予定であり、気候変動リスク分析サービス「Climate Impact」(21年2月リリース)では顧客拠点に特化した気候変動シナリオ分析とリスク評価を行い、その結果を提供することもする。企業の経営戦略に気候変動リスクを取り込んでもらうことで、顧客ビジネスの安定的な成長や継続に貢献していく構えだ。