スマートマスクや屋内位置測位の仕組みなどで消防活動をサポートする

消防現場では被災者の救出や消火など一刻を争う。消防隊員の安全確保も必須であり、現場活動機材の高度化、情報連携の強化が求められているという。

NECは、視界不良時や屋内における迅速かつ安全な消防活動を実現する「現場活動支援ソリューション」を開発した。同ソリューションは、①世界初だという"スマートマスク"、②GPS電波が届かない場所でも隊員の位置を即時かつ常時確認できる"屋内位置測位システム"、③タブレット端末や電子指揮盤にて現場の隊員間/指令センターなどとの情報共有及び指揮伝達を助ける"指揮支援システム"で構成されている。

①は消防庁「消防防災科学技術研究推進制度」令和元年・2年度委託研究(代表:日本消防設備安全センター)として、エア・ウォーター防災重松製作所と共同開発した。呼吸器面体に備えた双方向情報伝達フルカラー表示HMDと赤外線・可視光カメラにより、暗闇や濃煙下などでの要救助者の検索活動等を支援する。無線通信網によって、現場隊長や指揮本部と即座に情報共有ができる。

現場到着時にアンカービーコンを設置すると、モバイルビーコンを付けた複数隊員の位置がタブレットに表示され、活動状況の把握が常時可能となる。②は、北米ラボの特許技術「TrackIO」を活用、子会社のNEC Xと同ラボが消防機関で実証中だという。NECは今年度に電子指揮盤――リコーの大型電子ペーパー「eWhiteboard 4200」と連携した③のシステム提供を開始している。

23年度までには①と②を実用化し、全国の消防へ展開していく。さらに各システム間のデータ連携強化を進め、消防活動のより一層の迅速化・効率化に寄与していく。同ソリューションは「NEC Safer Cities」に基づき、消防現場のデジタルトランスフォーメーションを加速・強化するものだという。同社は安全・安心・公平・効率な社会の実現に貢献していく構えだ。