物体検知イノベーション、死角監視などADASの機能を一層強化する

変化は1秒で発生する。路上走行中、スマホの着信音や後部座席の子どもに気を取られ、注意力が散漫になっている間にも、自動車は数メートルないし十数メートル進んでしまう。その時もし、道路横断者がいたり、先行車が停止していたら――。

衝突回避ブレーキを搭載していれば、前方の物体を検出し、数ミリ秒内に自動制動可能。だが、検出に失敗した際はどうなるのか。米国FHWAによると、死亡・重傷事故の計50%超は交差点とその付近で発生している。新しい自動車安全要件がUN-R79(ex.国交省PDF)及び改定版NCAPとして発効され、自動車メーカーは、先進運転支援機能と自動運転機能をサポートできるようにステアリングシステムを改善する必要があるという。

日本TIは2日、自動運転と自動車の安全性向上を目指す取り組みの一環として、車載製品のラインアップ拡大を発表した。先進運転支援システム(ADAS)の物体検知方法を改善するのに役立つという、新しい「AWR2944」レーダーセンサSoCは、物体の迅速な検出、死角の監視、効率的なコーナリング・ナビといった機能強化に寄与する。これにより、自動車メーカー各社は、衝突のない未来へ向けた構想を進めやすくなる。

「AWR2944EVM」により直ちに設計を開始できる。同センサは上記安全規則への適合を容易にする。他の現行レーダーセンサよりも約30%小さく、クラス最高の無線周波数性能を実現できる。4個の内蔵トランスミッタと、33%高い分解能により、車は複数の障害物をより明確に検出し、衝突を回避できる。ドップラー分割多重アクセス方式の信号処理を土台とする独自ハードウェアにて、接近車両を従来より40%離れた距離で検知することができるという。

同社のADAS向けソリューションには、高性能統合型SoC、高効率エッジAIプロセッサ、車載対応PMICの「LP87745-Q1」などが含まれている。