自治体DX、根拠を示すAI系ソフトウェアにて介護リスクを把握する

2019年、総人口に占める65歳以上の割合が28.4%となった。超高齢社会(同割合21%超)の先駆けである日本では、介護認定者数は約684万(21年間で約3.1倍)、介護給付費は約12.4兆円(21年間で約3.4倍)と、それぞれ増加の一途を辿っている。

内閣府「令和2年版高齢社会白書」、厚労省「介護保険事業状況報告 月報」、財務省「社会保障等」から上記実状が浮かび上がる。各自治体は社会保障費の増大や介護保険財政の圧迫、介護関係職員の負荷の高まりが課題となっている。住民の健康寿命を延ばし介護給付費を抑制する、要介護リスクの把握も喫緊の課題だが、介護認定の申出により状況認識するケースが大半で、事前把握は困難な状態だという。

富士通Japanは、自治体の介護予防施策を強力に支援するため、富士通の説明可能なAI技術「Wide Learning」を活用し、将来的な介護リスク度合いの算出を行う「介護予防AIスクリーニング」を開発。これを1月25日に発売した。AIと介護保険システムを活用して要介護リスクの予測を行う製品は国内初だという。同製品は「MCWEL介護保険V2」を利用している自治体向けにオプションとして販売される。

MCWEL介護保険V2で管理する住民の介護認定情報や介護サービス受給履歴などの項目をAIが学習し、いずれ要介護となる可能性が高い特徴の組み合わせと影響度を可視化する。「介護予防AIスクリーニング」により、自治体職員は要介護となりうる傾向を把握でき、社会保障費の抑制につながる施策の立案や、住民への介護予防に関する有効な情報提供が可能となる。介護予防意識の向上、将来的な健康寿命の延伸が期待できるという。

同社は、超高齢社会において、人々が営む生活の質の向上と職員の業務改革の両立を実現する自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する取り組みを強力に推進していく構えだ。