行政DX、要介護認定にかかわる各種業務をICTで

後期高齢者が増えている。それに伴う要介護認定者数の増加が見込まれていて、認定調査員や事務職員(保険者)の不足による業務負担の軽減が課題となっている。要介護認定事務の効率化は、保険者だけでなく、被保険者にとっても認定結果の早期通知などの効果が期待されるという。

NTTデータ東北NTTデータ経営研究所は、「要介護認定事務の円滑な実施に係る調査研究事業」の一環で、今月20日にICT(情報通信技術)実証実験を開始した。昨年3月から要介護認定事務支援AIサービス「Aitice®」を利用している福島県郡山市の協力のもと、要介護認定事務に係る"訪問調査・認定調査票作成業務"、"調査票確認業務"、"一次判定システムへの調査票取込み業務"について、ICT利活用の効果を検証する。

下記3項目の実証――現状:訪問調査で聞き取りした内容をメモし、事務所で調査票書き起こし、同調査票の内容を事務職員が目視確認、紙のそれをOCRで読み込み一次判定システムに反映――で、両社は、全国の保険者の現状を考慮しつつ、さらなる業務の高度化・効率化に向けてICT利活用の方策を見出していく。

①タブレットを活用した訪問調査・認定調査票作成では、人力業務の効率化やペーパーレスの効果を検証する。②AIを活用した調査票の整合性確認ではAiticeを活用し、調査票の確認作業をAIが担うことで、現行業務の効率化を検証。③シームレスな一次判定システムへの調査票取込みでは、調査票の記載内容について、OCRを介さずに電子データとして流通させる、データ連携業務フローの検討を行い、効率化を検証する。

それぞれの結果報告を4月以降に予定している。両社は、そこで得られた成果をもとに、要介護認定事務におけるICT利活用の推奨モデルを作り上げ、各自治体への普及・提案活動を推進し、全国の共通課題である要介護認定事務の業務負担の軽減に貢献していく考えだ。