雲の中を高解像度解析、雨か雪かなどを自動判別する

近ごろ次世代"空モビリティ"の実用化が注目されている。日本政府も「空の産業革命」ビジョンを描いていて、大阪・関西万博での登場が期待される空飛ぶクルマや、さらに進化・発展する産業用ドローンなどの実用化に向けては、ルートに特化した気象情報が必要となるのに――

従来の技術を活用しても雲の中を高解像度に観測することは難しい状況だという。ウェザーニューズは今月6日、次世代空モビリティの安全運航や最適なルート選定を支援するため、雨・雪・雲(霧)を自動判別する世界初の多周波気象レーダーシステムの開発に着手した。従来の気象レーダーでは1システム=単一周波数帯利用だが、今回開発するレーダーは、1つのレーダーシステムに特性の異なる複数の周波数帯を利用する。

ドローンは霧雨や弱い雨の中を飛行することは可能だが、強い雨の中を飛行することは困難である。ゆえに、雨の強弱を把握して目的地へ確実に到着するには、飛行ルート上の雲の様子を詳しく把握する必要がある。既存の気象レーダーやライブカメラ、衛星画像などではしかし、雲の内部を高解像度に観測することは難しい。そこで、同社は、上記新開発するしくみにより、低高度の雲内部を高解像度に観測し、雨・雪・雲(霧)の判別を可能にする。

多周波気象レーダーについては、2024年末までにプロトタイプの完成を予定している。ドローンの運航を支援する実証実験も予定して、その後、量産試作などを経て2030年ごろの運用開始を目指している。研究には大阪大学大学院工学研究科牛尾知雄教授が参画――。同教授の技術指導・助言を得ながら研究開発を進めるという。

同社は、科学技術振興機構(JST)の「未来社会創造事業(大規模プロジェクト型)」 令和3年度の技術テーマにおいて、JAXAが提案し採択された研究開発課題の共同研究グループとして参加し、その一環として支援を受け、上述のような取り組みを進めていく。