都市部のさまざまな水上を便利かつ優雅に、自動運転船がゆく

津々浦々、日本の都市は水辺を中心に形成されてきた。東京・大阪なども例外ではなく、近ごろ大都市臨海部は過密化し、交通、物流、環境、防災等の課題が複雑に絡み合っている。それら課題に対し、人・物の移動を支えるうえで、未ないし低利用水域の活用が重要な糸口になるという。

竹中工務店を代表法人とする「海床ロボットコンソーシアム」は今月15・16日、都市型自動運転船の実証実験を行った。同コンソーシアムが開発する純国産制御システム搭載の「海床(うみどこ)ロボット」を、EXPO2025会場――夢洲内の水域に見立てた大阪城公園の東外堀に浮かべ、新しいモビリティの活用可能性を検証した。

同博覧会協会と大阪商工会議所による「2025年大阪・関西万博の会場予定地である夢洲における実証実験の提案公募」に採択された(ニュースリリース)。「海床ロボット」は海や運河・河川・湖沼などの水面に浮かべた床(3m四方)が自動で動き離着岸するものだ。今回の実験を通じて、①タブレットのインタフェースで操作し「水上自動走行」、➁高い精度の位置制御を行い桟橋への「自動離着岸」を実証。

③デジタルファブリケーションを活用し、用途に応じて船の上屋の変更が可能な仕組みの検証も行った。そして、22年以降の実験では「運搬ドローン連動機能」「複数ロボットの群管理」の検証を目指し、運搬・環境・エンターテイメント・防災など用途に合わせた開発に取り組む。都市型自動運転船は、都市部の水辺を拠点に、地域の魅力や付加価値の創造、さらには水辺の交通・物流など多様な都市課題の解決に貢献することが期待されるという。

海床ロボットプロジェクトチームは、岩手県大船渡市綾里漁港、VUILDセンティード東京湾マリーナモデュレックスヨッティングワールドの協力も得て上記実証実験を成功させた。「海床ロボット」が都市内水域を動き、水辺を変革していく未来を目指している。