建設現場を巡るロボットを実証、施工管理業務の効率化へ

近い将来の技術者不足が懸念されている。建設現場では先端技術の活用による生産性向上への期待が高まっている。そこで、施工管理の効率化を目的に、工事の出来高・安全管理をロボットが代替することを視野に入れ、現場への新たな技術の導入を検討してきた。

かたや、エネルギー効率の高い移動ロボティクス技術を開発していて、各種産業分野への応用を目指し、実証フェーズへの移行を模索していたという。清水建設ソニーは、建設現場における巡回・監視等の施工管理業務の効率化に資するロボットの実用化に向けて共同する。来年6月まで、前者が施工中の虎ノ門・麻布台プロジェクト(関連情報:森ビル東京都港区)A街区のタワービルで実証実験を行う。

段差や開口、障害物などがある実際の建設現場で、後者のR&Dセンターが開発中の移動ロボットの検証機を動作させ、その性能評価とテクノロジー検証を実施する。建設現場の巡回・監視、出来高検査などの施工管理業務に、移動ロボットを導入することの有用性の確認、およびその課題やニーズの整理。移動ロボットのハードとソフト両面でのパフォーマンス評価および技術検証を行う。

ハードウェア面では、段差の昇降、狭小な経路の通過、水たまりや開口(穴)などの歩行不適な場所の回避、認識が難しいガラスやメッシュの壁面がある空間での適正移動、バッテリー性能等を、そしてソフトウェア面では、操作用タブレットデバイスによるロボット歩行経路の作成、ロボットによる測位、静的・動的障害物の回避動作の考案、機体に搭載したカメラによる撮影などを実証する。

移動ロボットは、総重量が89kgで、脚移動と車輪移動の両立を実現する6脚車輪構成により、整地・不整地が混在する環境においても、常時安定かつ高効率な移動が可能だ。最大移動速度1.7m/s、ロボット脚部にかかる負荷を分散させるメカ構成により、20kgの高い可搬重量を実現しているという。