衛星データを用いたデジタルツイン都市で花火大会を満喫する

日本各地で開催される祭りやイベントは、その地域における重要な観光資源である。だがおよそ2年間、新型コロナウィルス感染症の蔓延により、それらの多くは中止を余儀なくされている。観光収益に頼っているところでは、それが大きな課題となっている。

コロナ禍以前にも課題はなきにしもあらず――。増え続ける来場者の安全を確実に担保し続けられなかったり、イベントにおける安定収入の確保が困難であったりすることから、たとえば、約50年の歴史を有する広島の「宮島水中花火大会」や福岡の「西日本大濠花火大会」などが終了した。現在、地方における文化の継承や、観光資源の開発ないし持続可能性が問題になっているという。

TISは、RESTEC電通九州CenterQとともに来年1月15日~2月13日、福岡市を舞台とした「デジタル花火大会」を実施する。この「衛星データによる都市デジタルツインを活用したお祭りXR体験の実証」実験は、内閣府の「令和3年度 課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」(モデル実証事業HP)で採択されたものだ。

今回、衛星データを用いて作成した都市のデジタルツイン――現実空間の物事をサイバースペースに再現する技術――空間上で花火大会を開催し、デジタル技術を使った新たな観光モデルの有効性を検証する。TISのWebサイトにある参加応募フォームで申し込んだ人たち(応募者多数の場合は抽選)には、自宅にて、VRゴーグルなどを用いて360度のVR動画コンテンツ「デジタル花火大会」を体験してもらうという。

それぞれの強みを生かしながら共同してこれを推進する。4社による実証チームは、XRという新技術を用いた文化・歴史のコンテンツ提供により、地元住民や観光客の福岡地域への興味・関心向上を促す。協賛・広告モデルを確立し、衛星データを活用した新しい観光モデルの構築を目指す。