医療機関同士および生活者が利用できるデジタルパスポートを導入

その医療機関は、30年前から患者が自身の情報を閲覧・管理できる環境づくりを目指している。病院同士の連携で溜まっていたPHR(パーソナルヘルスレコード)を患者に帰属する情報として、本人が一生涯に渡って健康記録を集積・活用できるプラットフォームの構築を検討していた。

さらに昨今、COVID-19対応として、コロナウィルス陽性判明後の自宅療養者の医学的検査や、入院患者の受け入れを行っていて、保健所との迅速な情報連携、患者とその家族との情報共有が求められている。医療機関向けの情報連携ツールは多いが、医療従事者間を軸として患者本人と連携できるツールはない。同意書は紙、非接触対応が難しいなど課題が散見されていたという。

TISは、兵庫医科大学ささやま医療センターにおけるクラウド型地域医療連携サービス「ヘルスケアパスポート」の導入完了と利用開始を発表した。同医療センターには、丹波篠山市でのコロナ感染症患者の健康管理をはじめ、地域住民の健康を支える社会基盤の活用範囲を拡大していくためのシステムインフラとして同サービスが採用された。

「本人同意を得て、患者の情報連携」「医療機関の間で患者の医療情報の共有」「患者が自身の情報をスマホで閲覧・管理」「他サービスとのAPI接続でシームレスなサービス連携」を可能とし、「新型コロナウィルス対応機能」を装備していることが評価されたという。同サービスを活用し、ささやま医療センターは、市内約40の病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション、保健所などと地域医療連携を進めていく。

いずれ厚労省のHER-SYS、電子お薬手帳、電子母子手帳、検査会社のシステム等ともつなぎ、「多職種連携+地域医療連携+PHR」の次世代型ネットワークとして在宅ケア・介護施設利用へと広げていく。医療機関と患者が連携しながら生活習慣病を改善していくことにも上記クラウドサービスを活用していく考えだ。