旅客向けの同制度(関連情報:国交省Web)による貸切バスは公共性が低く、地域住民の利用に課題があった。さらに、運行に係る事業者の収益性、言葉の通じないインバウンド(訪日観光客)が使いづらいしくみや予約・乗車プロセスに起因する運行上の混乱等なども、課題になっていたという。
赤井川村DMO、NEC、電通、電通北海道の4者は、北海道余市郡赤井川村にて住民、観光客、リゾート施設従業員が共用する乗合バスの運行実証を今月11日から本格稼働した。赤井川村DMOがキロロリゾートとともに、住民、観光客、施設従業員が共用する乗合バス制度による定期運行を開始。リゾート施設を利用する観光客の需要を取り込むことで収益性を向上し、廃止路線の復活を目指す。
利用者の属性で料金体系が異なることにより予約、乗車オペレーションが煩雑になる課題に対し、北海道アクセスネットワークの予約決済システムと、生体認証による共通IDで複数の場所やサービスにて顧客へ一貫した体験を提供する「NEC I:Delight」コンセプトにもとづく顔認証技術とを連携させることで、円滑な運行オペレーションを可能にする。来年4月3日まで、「村民+観光客」公共交通スタイルの実証キャンペーンIN赤井川が予定されている。
実証の企画・広報は電通及び電通北海道が担っているという。4者は、公共交通と観光のDX化によって、複数の交通機関やサービスをシームレスに連携し、様々な用途で使えるMaaS(移動手段のサービス化)ソリューションをめざす。MaaS×観光事業によって、過疎地域における公共交通ネットワークの存続も実現していく構えだ。