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種の多様性指数を都市へ応用、街路レベルでの定量分析結果は――
無数の要素間での数え切れない相互作用が下から上へと蓄積された結果であるとの見方を示した。都市多様性を生成する4つの原則(コミュニティ再生の4条件)を引き出し、様々な要素が混ざり合いながらも一緒に存在している地区こそ「多様性豊かにして魅力的である」と主張している。が、その定義や効果についての議論は、長らく続いていたという。
東京大学先端科学技術研究センターのグループは、MIT Senseable City LabおよびBBVA銀行との共同研究により、都市多様性を定量化し、その街区レベルにおける経済効果を実証した。生物学で提案されている「種の多様性指数」を都市に適応し、その効果をクレジットカード決済情報と比較することによって、都市多様性と街区の小売・飲食業績との相関関係をスペイン50都市で検証した。
結果、多様性が高いエリアでは小売・飲食の売上が向上する、正の相関が見いだされた。同じタイプの店舗だけが集積している街区よりも、多彩な業態店がモザイク状に集積している街区のほうが、より多くの富を惹き付けることがデータで実証された。都市における多様性が、小売店や飲食店など都市を構成する要素にとって、ポジティブな影響を与えることが定量的に証明された。
ジェイコブズが約50年前に提唱した多様性(そのなかの都市商業の多様性)の定量化を通して、街路の賑わいを構成している小売店・飲食店の「集積のしかたの違い」による経済効果を科学的に裏づけるものとなった。アーバンサイエンス概念(MIT)に新しい局面をもたらす可能性を示すものだという。この度の研究成果はSAGEジャーナルに掲載された。