医療DX、電子カルテシステムから薬剤情報が閲覧できる

安全で質の高い医療サービスを提供する。そのために必要な医薬品に関する情報は、医療従事者向け会員制Webなどで公開されているが、機微情報を扱う電子カルテシステムにアクセスするPCや通信網は専用環境にあり、インターネットに接続できないことがほとんどである。

診療時に医薬品に関する情報を参照する際、施設内に用意しておいた別系統の端末を使わねばならず、非常に非効率である。診療時以外では、製薬企業のMRや勉強会等を通じて情報を得てきたが、今日、医療機関内におけるコンプライアンス強化や、新型コロナウイルス感染症の影響により、医療従事者と製薬企業の接点が大幅に制限され、医療従事者が情報を入手することは難しくなっているという。

富士通は今月2日、医療従事者が電子カルテシステムを通じて医薬品に関する適正使用情報など、様々な情報を直接閲覧可能とするクラウド型の「薬剤情報提供サービス」を日本国内で提供開始した。同サービスは、医薬品に関する添付文書などの基本文書や、主要な臨床成績などをまとめた専門性の高い文書などの医薬品に関する幅広い情報を同社のクラウド上に集約――

厚労省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」準拠の高セキュリティ通信網を介して、電子カルテシステムからのアクセスを可能とする。これにより、医療従事者は診療現場で要する医薬品の情報を少ない負担で収集でき、安全で質の高い医療と患者のQOL向上につなげられる。製薬企業はMRや会員制サイト等を通じて届けてきた情報を一括提供し、業務効率化が実現できる。

電子カルテシステムに連携する薬剤情報コンテンツの種類や連携方法、情報提供上のルールなどについて、製薬企業と多くの意見交換を重ね、実証実験を経て開発したものだという。薬剤情報提供サービスの展開を通じて、富士通は、国連SDGsの目標3などに掲げられている取り組みを推進していく構えだ。