コロナ禍でIT予算を増額した企業は3割強、DXを加速

新型コロナウイルス感染症の広がりが、日本社会のデジタル化の遅れをあぶり出した。18ヶ月で性能が2倍になる半導体チップを多用する各種IT(情報技術)機器およびシステムによって、それらを駆使してこそ、デジタル変革(DX)が成されるわけだが、果たして各組織のスピード感はいかに――。

今月11日、ITRは、2021年8月~9月に国内企業を対象に実施した「IT投資動向調査」(有効回答2,973件)の一部結果を発表した。

2021年度(21年4月~22年3月)のIT予算は、「増額」とした企業の割合が35%、「減額」した企業は11%。増減傾向を「IT投資インデックス」で見ると、21年度の実績値は「2.28」となり、20年度の実績値や前年調査時の21年度予想値を上回った。コロナ禍による大規模プロジェクトの延期など、短期的なマイナスの影響は縮小したものの、22年度はIT予算を増やす企業がさらに増加するまでには至らないだろうという。

DX推進系の組織体を有する企業は、調査開始以降初めて7割を超えた。が、依然として"掛け持ち"が多数である。今回の調査では16のDX関連施策を挙げその進展状況や成果の有無をスコアリングして、DX専任部門の設置状況との関係を分析した。結果、DX実践度が高い企業ほど専任部門設置の割合が高く、70点を超える企業では、半数以上がDX専任部門を設置している特徴が見られた。

約1年半のコロナ禍において自社のDXへの取り組みが「加速」したと考えている企業は、全体のほぼ半数を占めた。加速を認識している企業ほど、IT投資インデックスが高く、「大いに加速」した企業のIT投資インデックスは「6」超と、全体平均「2.28」を大きく上回った――。DXの取り組みとIT投資は密接に関連していることがわかったという。同社は、全調査結果を掲載したレポート『国内IT投資動向調査報告書2022』を同日発売した。