咳の発生を遠隔予測、AI解析システムにて飛沫感染を防ぐ

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の人人感染が19年に発生した。翌年2月にWHOは同ウイルスによる疾病をCOVID-19と名付けた。以来それは某国大統領に「風邪みたいなものだ」とされながらも世界中に蔓延し犠牲者を積み上げ、日本でもワクチン接種が普及するまで勢いが収まらなかった。

感染の新しい波の発生、さらには別の新興呼吸器感染症の勃発などについても予断を許さない。今日、そうした感染拡大を防止する措置として、「咳」の発生予測が可能ならば、アクティブパーティション、能動エアシャッター、アクティブフェイスマスクなどにより、飛沫に接触する機会を大きく減少させて、感染数を低下させ得る可能性があるという。

東北大学加齢医学研究所大学院工学研究科医工学研究科教授らのグループは、COVID-19等の新興呼吸器感染症で最重要な感染経路になる「飛沫感染」に注目し、「咳の発生」を体表面三次元映像から「診断」し、「予測」しうるシステムを発明し、特許出願(特願2021-045978)した。研究成果の一部はスズキ財団NEXCO高速道路防災対策研究助成リレーフォーライフジャパン等の支援による。

人間は咳をする直前に必ず空気を吸い込む。本発明においては、体表面映像を用いその直後の「呼気相」の時系列をAI解析することで、二次元情報のみの映像からでも人体の三次元表面再構成とモーション解析が可能になり、AIによる「咳」の定量診断と発生予測が可能になったという。同グループは現在、流体科学研究所と共同で、飛沫感染伝播経路のシミュレーション研究も進めている。

それにより、「咳による飛沫感染のアクティブブロック」システム開発の可能性が見えてくるという。予測できないクラスター発生の大幅減だけでなく、様々な応用、産業化が期待されるという。上記発明の成果は1日、国際医用生体工学会議IEEE EMBCで発表された。