人とロボットの安全協働、まずは指の傷害防止から

生産性向上に資するロボットが活躍し始めている。なかでも人と協働するロボットはグローバルに拡大が見込まれている。一方で、協働ロボットを活用するモノづくり現場では、安心安全の担保が最大の課題となっていて、発生頻度が高い人の指部の比較的軽度な傷害の未然防止が求められているという。

パナソニックは、トヨタと、人と機械が安心・安全に共存・協働していくための指部の安全性評価技術を共同開発した。両社は、特に産業界においてニーズが高いと想定される上記傷害の未然防止に向け評価用ツールとして「裂傷評価指ダミー」を製品化。タナックを通してこれを今月15日より販売する。

指ダミーは、人体の骨にあたる芯棒部に、皮膚にあたる軟材料を被せた構成で、皮膚に見立てた軟材料は、実際の人体と同程度と推定される裂傷強度(裂傷を発生させる荷重)を有した独自開発品だ。それを被せた部分を機械などに挟み込ませ、その際に軟材料が受けるダメージの程度から傷害を可視化し、指部の軽度な傷害の予測とその評価ができる。軟材料を交換することで、繰り返し利用もできるという。

両社は、2018年に指部の安全性評価技術の共同開発を開始。パナソニックには、人に近いと言われる豚の皮膚での検証実験などに基づいて開発している生体安全評価技術があり、05年より折れ戸「ハサマナイズ機構」、自律搬送ロボットなど自社製品の安全性評価に独自ツールを活用している。当該技術をベースに、トヨタのモノづくり現場での知見・経験を活かして、協働ロボットとの作業時に起こりうる指の裂傷傷害が予測でき、現場で簡便に――

安全性に関する検証や改善、妥当性評価ができるツールとして指ダミーを開発した。同ツールの活用を広めるため、その製造・販売をタナックに委託し、誰もが購入できる体制を整えた。両社は今後、人と機械が安心・安全に共存・協働できる社会の実現に貢献する取り組みを進めていく考えだ。