畜産農業DX、母豚を写して太り具合を自動評価・給餌量等の最適化へ

養豚経営は繁殖成績に左右される。高い成績を上げるためには、飼養環境や給餌・給水の適正管理が重要となる。なかでも給餌管理による母豚の増体(体重の増減変化)コントロールは、健康な子豚を多く出産することにつながる。

母豚は通常200kg超もあって、体重計の導入はコスト・労力面で見合わない。そのため、増体を測定する簡易的な手法として、目視や触診による太り具合の測定や超音波による背脂肪厚の測定が取り入れられている――が、いずれも熟練の技術が求められるうえ、測定者による誤差が生じたり、測定作業に労力を要したりする課題があったという。

NTTテクノクロスは、母豚を撮影するだけで繁殖に最適な増体管理を実現するシステム「any-condition」を今月26日に発売する。山形県養豚研究所および伊藤忠飼料との2年間にわたる共同研究により、母豚の増体変化には胸囲が最も相関していることを見出したという。同社では今回、豚体重推定システム「デジタル目勘」の技術やノウハウを活用し、母豚の胸囲から増体を可視化する上記新システムを開発した。

any-conditionは、「非接触で簡単計測」「給餌管理に活用」「繁殖成績の見える化・分析に活用」を特長としていて、母豚の背中を撮影し胸囲を推定、従来の測定作業よりも手軽に素早く計測ができる。推定した胸囲から母豚の太り具合を自動評価し、増体推移はグラフでも確認でき、熟練の知識や勘がなくても給餌量の調整が可能、繁殖に最適な増体管理を実現し飼料コストの最適化も図れる。

データの蓄積により品種や飼養環境に合わせた農場ごとの増体推移曲線を作成でき、増体変化と繁殖成績の紐づけにより、繁殖傾向の見える化や分析が行え、繁殖成績の改善をサポートする。新システムは、13日~15日に「第3回 国際畜産資材EXPO」、来月24日~26日に「アグリビジネス創出フェア2021」で披露される。