医療DX、心電図データから心臓の動きをAIが推定する

日本人の死因の第2位となっている。心疾患の早期発見では心電図検査が広く用いられている。が、心臓の電気パルス信号にもとづく心電図のみを用いて心臓の形や動きの異常を捉えることは難しく、医療現場では、その検査結果に加え、患者の自覚症状をもとに医師が聴診器を使って――

心音の異常を検知した後、心エコー検査(心臓超音波検査)を行うことなどで検出している。心エコー検査は専門医や臨床検査技師がいる施設でしか行えず、すべての患者に行うことが難しい。ゆえに早期の発見がし難く、発見時にはすでに疾患が重症化しているケースもある。厚労省の令和2年人口動態調査結果の概要に冒頭の実状が示されている。心疾患の治療では、早期に発見して適切な処置を行うことが重要な課題になっているという。

富士通は、心疾患の早期発見を目的に、東大病院と共同で研究開発したAI(心電図データから心臓の動きの異常を推定する)について、その有効性を検証するための臨床研究を10月25日~来年3月31日の予定で同病院にて行う。両者は一昨年12月より、同病院を受診した患者の心電図検査データ約63万件と心エコー検査データ約14万件を使用して独自のAIの研究開発(東大病院の倫理規定に準拠)を進めていた。

そして今回、心臓の動きの異常を高い精度で検出することに成功した。当該AIを用いて、東大病院でこれから心電図検査を受ける患者の心電図データをもとに、心臓の動きの異常の有無をAIに推定させ、異常ありと推定された患者に心エコー検査を受けてもらい、同AIの推定結果と比較して有効性を検証する。

同AIを活用することで心疾患を早期に発見し、患者の重症化を防止し、人々のウェルビーイングな暮らしをサポートする「Healthy Living」の取り組みを強化していくという。同社の取り組みは今月12日に「Fujitsu ActivateNow 2021」で披露される。