ERPパッケージ市場の成長はコロナ禍で足踏み状態

財務会計、人事給与、販売管理、生産管理などの基幹業務データを統合管理する。ERP(エンタープライズリソースプランニング)の仕組みは、近ごろクラウド型が注目されていて、そのオリジンであるパッケージソフトウェアに対する需要も確実に存在している。

今月11日、矢野経済研究所は、国内のERPパッケージライセンス(クラウドのサブスク含む)市場における参入企業・ユーザ企業の動向、将来展望を明らかにした。2020年の同市場はエンドユーザ渡し価格ベースで約1,201億万円(前年比1.4%増)でほぼ横ばいとなった。新型コロナウイルス禍により、同年春頃には案件停止が生じ、緊急性の高いテレワーク環境整備等が優先され、ERPの導入は一時見送りとなる場合もあった。

投資力の限られる中堅中小企業で特にそのような傾向が強かったとみられるが、市場全体がマイナスになるほどの影響は出なかった。その理由としては業績が悪化した業種や企業が一部に留まったことと、経営環境の変化への対応でERPに優先投資した企業が多かったことが挙げられる。今日、コロナ禍により様々な変化が起きていて、DXへの関心は非常に高く、今年9月にデジタル庁が設立されたこともDX機運をいっそう高める要因となっている。

老朽化したERPをリプレイスして維持運用コストを削減することでDXへの投資を拡大したり、柔軟性が高くデータ活用もしやすい基幹システムに更新することで迅速な経営判断を行えるようにしたり、ERPがDXプロジェクトに組み込まれる機会が増えている。DXの推進が追い風となっている。21年のERP市場は回復基調に転じ、1,256億円になると予測する。

ERPパッケージライセンス市場は16年~23年CAGR(年平均成長率)4.1%で成長を維持し、23年には1,392億円になるだろうという。詳細は『2021 ERP市場の実態と展望』で確認できる。