ブロックチェーン活用システムでカーボンニュートラルを加速する

「2050年カーボンニュートラル」を宣言した。日本では官民挙げて脱炭素社会を実現していくことが求められている。現在、特に地域単位での、大規模集中電源に依存したエネルギー供給システムからの脱却や、一定規模のエリア内でエネルギーを融通する地産地消のしくみの構築を目指すなど――

再エネ活用のニーズが高まっているという。TISは、自宅で発電した再エネ由来の電気をEVに充電し、走る蓄電池として活用し蓄えた電気を別の建物に放電することにより、電気と共に環境価値を他者に移転するシステムを構築した。そして同システムを、関西電力が参画する「再エネ由来電気をV2Xで環境価値と共に移管するしくみ」を検討するための実証実験に提供したことを今月7日に発表した。

同実験では、太陽光発電(PV)設備を持つ一般家庭からの余剰電力をEVに充電したのち、イオンモール堺鉄砲町に設置されたV2H対応の充放電器に放電を行い、電気と共に環境価値を移転する「環境価値取引」を実現する。

その中でTISは、IoT機器で計測されたPV発電量とEV充放電量をブロックチェーンに記録する環境価値移転管理システムと、サービス利用者がPV由来の充電量や環境価値移転量などを閲覧できるWebアプリの試作・提供を行う役割を担った。次のステップとして、今回の実験に参加した一般家庭消費者に、移転した環境価値に応じたポイントなどを還元することを検討している。

より多くの消費者に参加してもらうことで、地域経済活動の活性化とともに、脱炭素社会実現に向けた意識変革を促していく。同社では、この度の取り組みをはじめとして、一般消費者や企業が環境に配慮した行動を選択できるように促し習慣づけていける施策を支援・推進している。さらにこれらを新たな事業やサービスとして提供していくことで、社会価値と経済価値の両輪で成長性・持続性を伴ったCSV経営を実践していく構えだ。