プラントの運転をAIで支援するしくみの高い実用性が確認された

生産年齢人口の減少が続いている。日本では、プラントを運転する人材の確保や技術の継承が運営各社共通の課題となっている。近年、AI活用への期待が高まっているものの、運転員のオペレーションは複雑であり、正確なモデル化は極めて困難――ゆえに、実用化には至っていないという。

横河ソリューションサービスNTT Comは、自動制御が困難なため手動オペレーションが不可欠なプラント運転をAIにて支援する「AIプラント運転支援ソリューション」を、JNC石油化学・市原製造所に導入し、実証実験に成功した。同ソリューションは、プラントに蓄積されたプロセスデータと現場の運転員の知見をもとに、手動オペレーションを模倣学習でモデル化するものだ。

稼働中のプロセスデータに当該モデルを適用し、AIが運転員に手動オペレーションの推奨値を案内表示かつその根拠を提示する。前者提供のプラント制御改善コンサルティング・ノウハウ、後者提供の開発ツール「Node-AI」で作成されたAIモデル、「アトリビューションマップ作成技術」による要因可視化を組み合わせてこれを実現した。

AIプラント運転支援ソリューションは、「AIが提示する推奨値が実際の運転員の操作と高い精度で一致した」、「(UIの視認性・判読性について) なぜそのような値をAIが推奨したのか要因が示されるため理解がしやすく、実際それについても納得できるものであった」、「オペレーションの改善活動や技能伝承の効率化にも繋がる可能性があり、将来的には自動化を期待できると感じた」などと、運転員から評価されたという。

両社は、今回の実験結果をもとにさらなる改善に取り組む。同ソリューションを2021年度中に商用化する予定であり、化学プラント以外の業界への展開も検討する。同ソリューションを発展させ、プラント運転の技能伝承を支援する機能の拡充および自動化の実現を目指していく構えだ。