産学でスマホアプリによる安全安心なイベント開催と経済活性度を実証

経口治療薬の登場まで新型コロナウイルス禍の再拡大が懸念される。日本社会は今年10月より、苦境を強いられ続けていた事業・店舗等の復活、各種イベントの安心安全な開催が試される段階となった。

かねてからイベント開催による近辺の駅構内や道路の混雑が地域課題になっていたという。デンソーテン神戸大学楽天モバイルは今月2日、ノエビアスタジアム神戸において、イベント時の混雑緩和方策の検討と、イベント会場周辺の経済活性化を目的とする実証実験を開始した。

試合終了後、帰宅者が集中する「時間」と「場所」を分散することで、混雑緩和の実現をめざす。専用スマホアプリで周辺の混雑状況を確認できるほか、会場内での待ち時間に応じたインセンティブ――ポイントを付与することで、来場者に待機を促し、帰宅時間を分散する。同ポイントはグッズ販売店や会場周辺の提携店舗で使えるクーポンに交換できる(条件はアプリ内「特典の使い方」に記載)。

"スタジアム周辺の公共交通機関の混雑状況の配信""試合終了後に楽しめるクイズの提供""混雑を避けたタクシー配車手段の提案"も行う。神戸大学は行動変容に関するデータ分析と来場者への効果的な提案通知方法を検証。楽天モバイルは映像配信に活用する5G環境や技術知見の提供、デンソーテンは上記アプリの開発と人流の計測・交通機関の混雑状況の予測、来場者へ最適情報を提供するためのデータ分析を実施する。

帰宅時の寄り道を促進することで、混雑場所の分散を図り、周辺の経済活性化にも貢献する。2021明治安田生命J1リーグ第31節「ヴィッセル神戸vs.浦和レッドダイヤモンズ」で同日実施したのと同様の実証実験を、10月16日、11月3日・6日・27日にも行う予定だという。3者はこの取り組みを継続し、研究開発・実証研究を通じて、ニューノーマル社会のイベント実施における混雑緩和と地域活性化の両立に寄与していく構えだ。