中山間地域で新たな配送サービス、共有型自動走行ロボットにて

中間農業地域と山間農業地域を合わせたところを「中山間地域」という。農水省によると、山地の多い日本ではそのような地域が総土地面積の約7割――全国の耕地面積の約4割、総農家数の約4割を占めていて、我が国農業の中で重要な位置を占めている。

その重要な地域の住民から今回、「普段は自家用車で買い出ししているが手元に届けてもらうのは便利になるので使いたい」という意見や、免許返納者や一人暮らしの高齢者から「安心して暮らせるありがたい取り組み」といった評価が寄せられたという。TISは、今年7月に「中山間地域での生活支援向けロボットシェアリング型配送サービス」の実証実験を福島県会津若松市で実施した(映像:YouTube)。

NEDO「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」に参画し、昨年10月より民・産・公で事業推進検討委員会を立ち上げ、同市の中山間地域(湊町)での買物に関する課題整理と解決方法およびロボット搬送事業モデル仮説の検討を進めてきた。そして本年7月、実際に同地域の住民や公共交通機関、地域商店の参加のもと、自動走行ロボットを使い各検討事項を検証した。

実証実験では、住民が市中心部のスーパーマーケットに買物代行を依頼し、その商品を地元のタクシー・路線バスでリレー輸送して湊町地区に届け、個宅へのラストワンマイル配送を自動走行ロボットが担当した。中山間地域での買物困難者を支援する、自動走行ロボット配送事業のユースケースの1つを検証するとともに、同地域で求められる自動走行ロボット・周辺システムを評価――。買物の課題解決に繋がるサービスであることを確認した。

三位一体で議論し、互いに協力することで課題解決につながる可能性を関係者全員で共有できた。これは大きな前進だという。同社は、人と協働するロボットサービスなど様々な事業を通じて、今後も各地域を活性化していく構えだ。