酒蔵をリモート体験、遠隔地からのリアルな商談も可能に

新型コロナウイルス禍により「新しい生活様式」への変容が進んでいる。観光客をターゲットとする地域の商店や生産者はビジネスモデルの変更が迫られている。客が減り、物産展が縮小され、新たなファンを獲得する機会が蒸発し、施設案内や商談をリモートで行えるサービスのニーズが高まっているという。

TISは今年7月から、豊洲オフィスのショールーム(TIS DIGITAL Innovation Center)にて、会津若松地域の酒蔵――榮川酒造名倉山酒造鶴乃江酒造と連携し、遠隔接客体験の実証事業を11月までの予定で行っている。コロナ禍での移動・観光の規制やプロモーションに課題を持つ地方の生産者に対し、地方創生につながる取り組みとして遠隔接客・ライブコマース事業を検証している。

同社は昨年4月より福島県会津若松市のICTオフィス「AiCT」に会津若松オフィスを設置し、同地域のスマートシティ化につながるものとして、キャッシュレス、ロボティクス、ヘルスケアの3分野で社会課題の解決を目指し活動している。今回の実証では、AiCTに入居する凸版印刷會津アクティベートアソシエーションと連携し、凸版印刷の「IoA 仮想テレポーテーション®」を活用してTISの上記ショールームより遠隔接客体験の実証を実施している。

横幅3メートルの大型3面モニターに向けて上記各酒造会社からのライブ中継を映像配信することで、まるで酒蔵にいるかのような没入感を高めた遠隔体験を実現。現地での接客と変わらない体験ができるのか、また商品の購入意欲が高まり、実際の購買につながるか、会津若松へ行きたくなったかなどを実証する。検証結果を踏まえ、地方と都市部をつなぐ遠隔接客・ライブコマース事業の創出を進める。

全12回、大型モニターを介して、酒造会社の担当者と会話する。イベント中の商品販売はなく、試飲やおみやげ提供による疑似体験ができるという。